SUKIKO KANNADUKI
2015年5月
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神無月好子/SUKIKO KANNADUKI
Hängen-Pazs

環境問題をはじめ、原発、社会問題などを、今までにない切り口で、わかりやすく馴染みやすく伝えるため、『GARCIA MARQUEZ』×『stop-rokkasho』のチャリティーコラボバックや、森林保全の『more trees』×『ANOTHER EDITION』×『HELLO KITTY』のチャリティーコラボバックの展開、執筆、講演会やトークショー出演、イベント開催など、多方面で活動中。



映画「あん」

あんあんあん とっても大好き ドラえ〜もん〜♪
ドラえもんは、どら焼きが大好きよね
歌詞から想像するに、「あん」も大好きなはず

 

4月の前半、桜は散り、川面や道路を桃色に染めていた頃でしたが
映像の中でとても美しい桜が咲き誇っている映画を観ました

 

映画「あん」
http://an-movie.com/

 

ドラえもんシリーズではありません〜河瀬直美監督で日・仏・独合作
先日、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 に
オープニングフィルムとして公式上映されたので、きっとみなさんご存知よね
5月30日から全国公開です

スキコがおじゃましたのは完成披露試写会だったのですが、そのお話をまず!
上映前にトークショーがありまして、出演されている
樹木希林さん、永瀬正敏さん、内田伽羅さん、河瀬監督と原作者のドリアン助川さんが登壇
みなさん劇中と同じ衣装を身につけておりました〜
樹木さんの斬りまくるトークは本当に面白いですね
樹木さんじゃないと言えないこともいっぱいww
お話によれば、河瀬監督は、役になりきらせるためなのか?
撮影中は登場人物と同じ衣食住を役者に求めるのだそうで
永瀬さんは銭湯やコインランドリーを利用し(もし会ったらビビルわ)コンビニ弁当を食べ
親族である樹木さんと内田さんも別々に宿泊し交流を持たせなかったそうよ
そうなの、内田伽羅ちゃんはモッ君こと本木雅弘さんの娘さんで樹木さんのお孫さん
たしかに、ふとした表情がお父さんにそっくりな時があるわ〜〜
ジタバタするなよ♪だけあって?若いのに物腰がとても落ち着いていらっしゃる
お父さんは、よく頑張ったね、自然だったよと褒めてくれたそう♡
でも樹木さんによれば伽羅ちゃんが一番頑張ったシーンはカットだったとか〜
しかし樹木さん、素晴らしいことをおっしゃったの
監督には氷山の一角でなく下を説明していただいた、下はカットだけど
下があってこその上なのだ、と
さすがだわぁ〜

 

樹木さんと、市原悦子さんも出演されているのですが
存在感はあるし、そしてコミカルにもなるし
全体的に重いストーリーに、さすが、明るさや楽しさも添えてくれる
そして、スキコが幽霊部員として参加している
「FreePets〜ペットと呼ばれる動物達の生命を考える会」で開催する
「命の教室」でも積極的に全国を飛び回ってくださる浅田美代子さんも!
登場したわんちゃんたちは浅田さんのところの?なのかしら?

 

ストーリーはといいますと(あまり書けないから映画観てね♪)
心やさしいのに深い事情があり、意にそぐわずどら焼き屋の店長をしている千太郎が
桜が満開の時期に、徳江さんというおばあちゃんと出会います
おばあちゃんはそのお店でアルバイトをしたいと
自作の「あん」まで持参して食べてもらい千太郎に何度も頼みます
千太郎は徳江さんの熱意と「あん」の美味しさに心打たれて雇ったところ
味が美味しくなったと行列のできるどら焼き屋になり☆

 

ところが、徳江さんに関するある噂が流れたことをきっかけに
知識不足、感性の不足がもたらすのか?浅はかで思いやりのない偏見と差別によって
徳江さんは・・・

 

徳江さんは若い頃にハンセン病にかかり
治癒後も実質の隔離施設の‘療養所’での生活を余儀なくされていたおばあちゃん
療養所のお仕事でず〜っと「あん」を作り続けた凄腕!
あずきの声を聞き、美味しくなる最高のタイミングを見逃さないのです
そこには、あずきだって命があり、その命をいただくのだから
美味しく作らないと申し訳ないよ、という命に対する感性や心の優しさがあるように思いました

 

ドリアン助川さんの小説「あん」を映画化したとのことですが
原作はどれだけ素晴らしいのだろうか!と、とても読みたくなりました

 

この映画をきっかけに、たくさんの人がハンセン病について考えてくれたらいいな
「あん」の映画協力をしている日本財団のHPです
http://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/leprosy/
ハンセン病は「らい菌」という菌に感染しておこる病気で、以前はらい病とも言われていた
「とても感染力の弱い菌」なので、ほとんどの人は自然の免疫があります
ところが感染してしまった場合、末梢神経や皮膚に病変がおきるため
外見に影響が出てしまう

 

そのためにひどい偏見や差別を受け・・
療養所という名の‘収容施設’での隔離された生活を余儀なくされた・・・
「らい予防法」という強制隔離政策は1996年に廃止されたものの
すでに薬や治療法が確立されて完治するようになっているにも関わらず
未だに偏見も差別も残っている・・・
今でもハンセン病療養所は全国にたくさんあるんですよね、13カ所
映画では、国立療養所多摩全生園(東京都東村山市)でも撮影が行われたそうです
もちろん暮らしていらっしゃる方々もいます
偏見や差別のため家に戻ることを拒まれ帰るところがなかったり・・・
所内で結婚して子どもができても、奪われ命を断たれたため、子孫もない・・・

 

一緒にいたって誰かに伝染るわけじゃない、今はもう治っている
風邪のほうがよっぽど伝染るのに・・
5月9~10日には、元患者や支援者らが「ハンセン病市民学会」を開催
「人権問題」として調査・勧告する第三者機関「人権擁護委員会(仮称)」を設置するよう
厚生労働省に求めることを決議したそうです
http://mainichi.jp/shimen/news/20150510ddm041040066000c.html
入所者のみなさんはもう高齢で平均年齢が84歳に迫るそうで
リーダー的存在だった方々も相次いで亡くなられたりしていて
当事者の運動が弱くなってきているそうです

 

被爆者の方々、戦争体験者の方々、日本軍慰安婦の方々なども
どの問題でも、みなさん高齢になっている・・・
先人たちはとてつもない苦労や悲しく辛い思いをした・・・
その、思い出したくもないようなことを私たちに語ってくれるのは何故か?
二度とこのような過ちを繰り返してはならないと
身を切る思いで伝えてくれているにではないでしょうか
訴訟なども起こりますが、自らの尊厳を取り戻すというだけでなく
ここで自分たちが立ち上がらって罪を問い、二度と繰り返されないようにしよう
そういう思いで、老いた身体で頑張り続けてくれているのでは
わたしたちはそのことを無にしてはいけない、受け継いでいかなければと
深く考えさせられるのです
歴史から学ばなければ人はただの愚かな生き物よね・・・
呪術による療法が根強いアフリカのほうでは適切な治療がされず
被害がまだまだあるそうで、人権問題としてだけでなく医療面の問題も重要なようです

 

樹木さんがトークショーで次のようなことをおっしゃってました
この映画に関わるまで、この問題を知らなかった、どうしてもっと早く気がついて
寄り添うことができなかったのかな
と・・・

 

多くの人が劇場に足を運んでくださり、樹木さんのようにこれからでも
考え、寄り添ってくれる方々が一人でも増えたらなと願っています
いやいや、願うまでもなく、きっとそうなることでしょう
ドラえもんのような道具が入った不思議なポケットがなくってもね♪
どなたかのファンとして鑑賞しにきた方の心にも、きっと残って
今すぐにでなくても、どこかでこの問題を目にした時に、何かにつながってくれるはずだから〜
(でもみなさん高齢ですからなるべく巻でお願いしま〜す☆)

製作年:2015年
製作国:日本/フランス/ドイツ
日本公開:2015年5月30日
上映時間:1時間53分
企画・制作:組画 / COMME DES CINEMAS
配給:エレファントハウス
カラー/シネマスコープ/5.1ch
http://an-movie.com/


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